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人間移転
人間が、自分の身を切り離し、別の身体に移り変わるという理論を発表した人が居た。しかし、その人は未だにその技術を開発しきれていない。
しかし、その人がこの世を去ったさらに未来、その技術はおおいに活用されていた。

ミラーヒューマブルプロジェクト・・・つまり、人間から人間へと意思や感情などを入れ替え、まったく外見を別人にしてしまう技術である。
全世界で公になったのは暫く遡る。
旧ソ連の科学者が目にしたこの理論を、実現してしまおうというのを発表し、科学者数人で立ち上げたプロジェクト。それから暫くの間、何の進展も無いのか、新聞や雑誌などの記事などには一切出なかった。一旦、国民達の頭からそのデータが消えかけそうになった時だった。ニュース番組に堂々と現れたのは、科学者の責任者達数人だった。
機械を使い、二人の人間の「魂」が移り変わる所が、全世界のテレビに放映された。
しかし、国民のリアクションはひどいものだった。
「で?ってところ。これが社会的に何のメリットがあるか教えてほしいわ」
「あの人たち、移り変わったって言ってるけど、言うだけならいくらでも出来るし、どうも受け入れられない」
「クズかな」

こんなブーイングの中で、一人拍手をしたのが、医療部門の人間だった。
患者の身体の不具合などを検査する為に使われないかどうか、検討中らしい。

さらに、ミラーヒューマブルをもとに、クローン技術なども試された。
全く同じ身を何体か造り、客に提供する。このミラーヒューマブルは人類の進歩の内の大きな一歩となったのだ。

今、ミラーヒューマブルは大絶賛を遥かに超え、社会現象を巻き起こした技術なのだ。











少年セラフも、今日の大手術に控えていた。脳裏に、この身体との思い出が浮かぶ。正直、この身を切り離されるのはまっぴら御免だった。しかし、親の言う事にしかたなく耳を傾けたのだ。泣きたい気持ちだった。転んで、擦り傷を負って、泣いて、笑って、怒って、楽しくって。こんな事を体験出来たのも、全てがこの身体のお陰だ。
自分自身を思い浮かべ、この身体との最期の時を待つ。唯、待つばかりだった。

親が言うに、人間の最先端の性能を持った身を格安で提供してくれるらしい。だから、したらしい。勿論の事だが、僕とは全くの別人で、血も繋がらない3000億kmも離れた親戚だ。ようするに、赤の他人という事だ。

病室の真っ白のベッドに仰向けになったセラフは、5時間ぐらい見つめている天井に、もう一度言い聞かせた。
「何百年かけても、天井は天井のまま。アンタが羨ましいよ」
天井は無言のまま、身動き一つせずにセラフと睨めっこし続けた。
そして、それは唐突の出来事だった。スライドのドアが鈍い音を立てて開く。セラフは音のしたドアを見つめた。真っ白で、ドアと窓とカーテンとベッドしかない病室に、変化が見られた。
ドアから、河の水のようにゆっくり流れてきたのは、ベッドだった。見知らぬ看護婦が押してきたそのベッドには、確かに人が乗っかっていた。
看護婦はセラフの隣にベッドを設置すると、セラフにお辞儀をしてその場を後にした。
看護婦が部屋を出るのを確認したら、すぐに隣のベッドに横たわる人を見た。
性別は女。僕より歳は下で、ものすごく綺麗だった。
一瞬焦った。多分僕、この人になるんだ。
鼓動の早さが増す。背筋に嫌な寒気がする。
「・・・・・」
セラフは彼女を見つめていたが、覚悟を決めて声を出した。
「ねえ」
ゆっくりと彼女の瞼が開き、虚ろな瞳が姿を現した。
疲れているのだろうか、彼女は無理やり起こされた人のような顔をしている。
「は、はろう?」
波浪ではない、ハローだ。
「・・・・?」
「僕、セラフね。ティア・セラフ・アルティーバ。そっちは?」
「ティア・セラフ・アルティーバ」
・・・・。
「いや、それ僕のなま・・・」
「で、貴女はシー・キーユ。宜しくね」
なるほど。先を見越した返答だ。
「貴女も親に無理やり?」
「そう。なんか値がいい身が見つかったって大喜び。それで、すぐに移転するんだって」
「やっぱり、値がいいっていうのは私のことかな」
セラフは焦り、フォローをする。
「いや、まぁ君と移転するって決まったわけじゃないけど・・・」
「決まっているわ」
「え?」
「私と貴女は、移転する」
説得力のある言い方に、セラフは内心戸惑った。
「そういえば、値がいい理由、分かる?」
セラフはショックで気が動転した。しかし、彼女の質問には返答せねばと、短く聞き返した。「ゴメン、何て言った?」
「私が格安な理由よ」
セラフは半分好奇心で聞いた。
「分からない。どうして?」

その時、軽いテンポの効果音がスピーカーから流れた。それから数秒後、呼び出しのアナウンスが二人に告げた。
『これより第3移転室にて手術を始めるので、以下二名は第2病棟の第3移転室に移動して下さい』
そうは言ったが、多分看護婦さん達がベッドを押してくれるだろう。それまで待っていよう。
『シー・キーユ,ティア・セラフ・アルティーバ・・・第2病棟の第3移転室へお急ぎ下さい』
しかし、どうも文面からして「歩いて来い」と言ってるような気がしなくは無い。どうしようか。
「歩いていきましょ」
「え?」
「多分、そんな親切な人たちではないわ、きっと」
シーは、無表情のままベッドから降り、ペタペタと裸足でドアまで歩いた。しかし、セラフはそんなシーを呼び止めた。
「あ、待って」
「何?」
「スリッパ」
セラフは、白いスリッパを差し出した。




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200903082249
エクス・レジェンド -夢現実架空反転編-
運命は、三つの株式会社に宿された。ブツクサを言ってる暇など、この未来には存在しない。

humanity=人類。world=世界。peace=平和。そして、この三つを失う。
ルァンテルス中央国という国。そこの中心部にて独立戦争を行う。結果、ルァンテルスとラフラィシルという国に分かれる。が、ルァンテルスはそれを受け入れようとはしなかった。
再び行われていく戦争。段々とそれは先の光が消えていった。やがて、消えた後、蒼い光が点った。
その東の国、マールァテリアにて行われた、新兵器展覧会。その技術を、ルァンテルスは買った。そういうのも、共同戦争。
マールァテリアの新兵器を使い、ラフラィシルの手足を塞いだ。やがて、沈黙の地へと落されていった瞬間だった。
ラフラィシルと、手を組み合わせた国が居た。
南米、緑望型真日本国。日本は、マールァテリアと同じ新兵器を所持していた。多少の武装の違いはあったが、構造は瓜二つだった。
やがて、それは範囲をも増してゆき、その戦争は名を変えた。
レジェンド総合戦争勃発。新兵器の名が上へと来た名前だ。
今、全世界の革命が起ころうとしていた。



薄暗い通路に二人ほどの足踏み音が聞こえる。やけに速い。
「はっ、はっ・・・」
「少しは、休ませろっ・・・!」
「うるさいな、レジェンドフレームはもう来てんだ!」
「だからって、ここは下水道だぜ?あいつ等には見えっこないぜ」
「逆に見つかりやすいんだよ!じっちゃんだって隠れても見つかった・・・」
「はいはい、その話は耳に”たこ”が出来るくらい訊いてますー」
街の真下の下水道。もう真上にはレジェンドが居る。それは承知している。ギアが鉄錆をこするような音に一歩を踏む度に鳴る振動音。さらには、こちらの街で鳴っている警報音。
重々承知している。しているけど、逃げ道の無い世界でそれはきつ過ぎた。道路脇の歩行者用の道の下にある四角い水を流したりする穴から外を覗く。重装備が二機と、四足が1機見える。さらに右を見れば、重装備が2機ほど。いや、3機。ビルが少ないあの路地に逃げよう。
「なぁ和季、俺おしっこしたい・・・」
「分からないか?ここは下水道だぞ?マンホールは汚水。そこにある水もバッチーもんだぜ。やるならさっさとしろ」
利郎が下半身からをモジモジさせている。ファスナーが開きにくいのか。イライラしてくる和季。
「漏れるーっ」
死にそうな声で呟く。ようやく開いたらしく、液体が水の中に入る音がする。「ふーっ」と溜息を吹き掛け、ファスナーを閉じる。
「利郎。奥向かいの商店街前の銃砲屋まで行くぞ。何か残ってるかもしれないから」
「えぇー!!まだ走るの?」
昔から運動だけはアマリ優れてなかったコイツは、案外細身だ。病気なのかと思った時期もある。
和季は首の横を掻き毟る。何かを決心し、利郎に言い聞かせる。
「やっぱいい。俺だけ行ってくる。何かあったらハンドガンがマシンガンはくれてやる。その代わり、ジッとしとけよ」
「分かった。ふぅー、よかった」
和季は、右を向くと、小走りで下水道を過ぎ去っていく。
「がんばれーっ」



*,1




大それたような商店街。全て横文字。異国の方同士のアイツとは数少ない友達である。
AK-47を身構えた軍人が何人も居る。(注:AK-47とは、1947年にソビエト軍が制式採用した歩兵用突撃銃、アサルトライフル。)和季は、腰を30度曲げ、体制を低くしながら靴を脱ぎ、靴下で商店街入り口を抜ける。あとは銃砲店へ向かうだけだ。
タッ。
運動には手馴れた和季。電源の点いていない銃砲店へ向かう。自動扉を力尽くで開ける。多少重い。けど、開けきれないほどでは無い。
静かに入り、扉を閉める。中まで行き着くと、安堵の溜息を一つ。緊張で自分まで尿意を感じる。そっとレジの周りを見る。ハンドガンが並びゆく。案外ある。が、警報装置が付いている。一回鳴らすと奴等に気付かれる。装置を止める為のキーは何処だ?もしかしたら、そのまま店長が持って帰ったか?
トンズラするのは難しそうだ。しかたなく、レジを抜けて裏の倉庫まで行く。ダンボールが何個も積み重なる中、和季は一つだけ取る。
[attention]と書かれたガムテープ。そのガムテープを取ると、静かに開ける。中には、MP5がビニールに入っており、何丁も積み上げられている。(注:MP5とは、ドイツのヘッケラー&コッホ (H&K) 社が対テロ特殊部隊向けに、同社のHK31(G3)の製造技術を用いて1960年代に開発したサブマシンガンである。)
和季はそれを丁重に持ち上げる。200m飛ばすことの出来るサブマシンガンだ。案外脆いかもしれない。和季はカードリッジを下げる。
弾は30発。重さは、3kgといったところ。
和季は、あえて4丁持つ。さらに中を見ると、長いダンボールを発見する。開けると、トミーガンが入っていた。(注:この「トミーガンは愛称。正式には、トンプソンM1短機関銃。アメリカ合衆国の物だ。こっちの方が80m一発の距離が長い。和季は2丁持った。
これで大体いいだろう。和季は下水道に戻ろうとした。途中、何かに躓く。石か。それは、転んだ瞬間マシンガンを落した音に商店街の奴等が気付いた時だった。
軍人達は、何かを察知し、そっと近づく。
来るな・・・。止まれ・・・。
軍人の一人が叫ぶ。
「餓鬼を発見!!!撃ち殺せぇえ!!」
銃口がコチラを向く。そして、その口が光る。
ドバババババッ。
背中に命中してくる。和季は頭を抑え、身を沈める。が、発砲の末、背中に穴が開く。背中が生温かい。それに、痛い。
口からヌルッとした血を吐く。咳と共に出た血は紅かった。
「もういい。発砲やめ!!」
その瞬間、軍人はAK-47を仕舞う。
「続いて探索を続行する」
スタスタと軍人達の足音が聞こえた。
和季は、背中を撃たれただけですんだ。内臓は、ギリギリ避けた。が、何かが無い。そう、身体の何処かの部分が無い。
下半身?違う。上半身?多分そうだ。腕の先・・・手?それは、左?
「中指が、無い」
初めて気付いた時、痛みを発した。痛い!!細い神経と骨がはみ出てる。痛みながら、懸命に中指を捜す。が、背中の痛さと中指の痛さで神経が回らない。
そのまま、バタッと暗い意識の中でその意識を途絶えた。



明かり?瞼が赤い。明るい。
大の字で寝ているのがわかる。全部が開いている。試しに指を動かしてみる。左から、右へと。よし。全部ある。夢だった。
そう言い聞かせ、目を開け、立ってみた。周りは真っ白で、城壁が見当たらない。
「う、うわぁあああ!!!!」
目の前には、何かが立ちほどこっていた。和季は腰を抜かし、ペタリと尻を地面につけた。20mくらいある。かなり大きい。大きすぎてよく分からないが、白いフレームに所々と紅い線が引かれてある。そう、ロボットだ。三角の黒い物を3つ4つつけている。まるで羽のようだ。
目は、赤黒い、汚れたような色と、ヘッドフォンを付けたような形だ。細い腕に、多少短い足。いや、腕が長い。
周りを首降りで見回す。やはり、白い空間だ。だが、ロボットの先には光があった。
思わず左手を口に当てる。
・・・・。指が無い!?
やはり夢じゃなかった。その証拠に、嘗めると少し鉄の味がする。沁みはしない。すでに穴が負債である。けど、親指を動かそうとすると、やはり痛みと刺激の苦痛だった。
もう一度、ロボットを眺めてみる。やはり大きい。胸部は大きい。背中には、ブーストらしき物まで付いている。
そっと近づいた瞬間。
目に光が点り、こちらを睨む様に見る。さらに、身体は軽く揺れている。どこかで大量の空気を出すような音が聞こえる。
「このロボット、息するぞ」
ギッ。右手が動く。手を平たくして、何かを差し出す。和季は後ずさりしながら、ロボットの指を避ける。その手の平の物を見た。
「!?」
そこには、小さく、肌色で長い物があった。中指。和季は、内心戸惑ったが、ロボットの手の平い乗った瞬間、指を拾い上げる。
改めて見ると、グロイ。けど、それは懐かしかった。
「何でお前が・・・」
ロボットは、左手を差し出す。何をするかと思えば、指先から光のケーブルのような物を突き出し、クネクネしながら和季の指を取ると、それを、和季の左手に差し込む。
「っ!!!何か感じる・・・」
左手が戻った。そんな分けない。神経だって・・・。
「もど・っ・・てる」
ロボットは、和季を背中のフレームまで持っていく。手が止まり、右手の人差し指が静かに上下で動く。
先を見ると、円の丸い模様がついたコックピットのような物が現れる。
シンプルだ。Xbox360noように。真っ白で紅い線が入ったコックピットだ。和季は、コックピットの前で立ちとまる。
「アンタみたいな奴等の事、思い出した」
あえて、左手の中指でロボットの頭部を指差す。
「それは、────・・・」



「う~、和季遅せぇ・・・」
相変わらず下水道で立ち止まり、モジモジとする利郎。四角の穴から外を見つめる。中々過ぎ去らないレジェンドを眺め続ける。
和季の姿さえ見つからない。う~と、唸りを上げていた瞬間だった。
鉄越しの付いた四角い穴の、鉄越しが取れる。思わず腕を突き出してしまい、急いで腕を戻す利郎。が、一機が気付く。
90mm経口のマシンガンが穴目掛けて5、6発撃つ。利郎は身を屈める。そして、敵の方角へ走り抜ける。
『餓鬼を発見。どうしましょうか』
『この市民の無差別発砲は許可されている。何を起こすか分からん。殺せ』
『アンダスタアド!!』
マシンガンで歩行者用の道を打ち続ける。利郎は、相変わらず逃げ続けたが、逃げ先の道を崩され、道を失くす。
「ひいぃいいい!!!」
頭を屈め、身を振るませる。
『あばよ糞が・・・・』
ドッ。マシンガン搭載型に煙が立ちほどこる。どこかが撃たれてる。
『敵襲か!?』
マシンガンの機体は呆気なく沈黙する。
ビルの上を一機が見上げた。
『たたた、隊長!』
『何だ!?あれは・・・』
大砲の機体が一発撃つ。相手は、懐を直撃するが、掠りもしなかった。白い。紅い、機体。
隊長機が短剣を構え直進する。
『あ、たいちょ・・・』
短剣を一振り。白い機体は後退りしながら短剣を避ける。隊長機は、一振りしたら後引きを繰り返す戦術を図った。これなら、斬った瞬間敵の攻撃も避けられる。そう思っていた。
が、短剣を避けられ、攻撃される。これが現状だった。
『クッソ!!』
短剣を投げつける。こいつには盾が無い。しかも零距離。当たる確立は高い。
白い機体に全力を注ぎ込むほどの短剣を、懐目掛けて放った。
その短剣h、白い機体の真ん前で止まる。そして、何が起きたかと思うと短剣が中に浮いた。まるで無重力空間のように。
『なっ!?』
機体の身体を起き上がらせた瞬間だった。槍の様な物が懐に突き刺さる。4つの装甲を一本で貫く。しかも、槍じゃなく、これは、三角形の、てっぱ・・・・。
機体がバランスを崩し、ビルの上から転落する。後で、灰色の砂煙が立ちほどこる。
『た、隊長がやられた!』
『退散!!』
オーバーブーストを出しながら空へ空へと飛び上がる。利郎は、こわれた下水道の城壁をつたい、ビルを見上げる。利郎は、悪寒がした。が、その後はすぐに気が変わる。
「白い、メシア・・・」
利郎は、冷や汗を止められなかった。

「思った通りに動いた・・・」
球体のような物を掴み、身体を突き出すかのように座る和季。目を背け、左手の中指を見ると、指がある。5本、全て。
さらに、安堵の溜息を和季は吐く。
丸いモニターが二つと、メーターのようなものが上下に二つ。さらに、指で覆えるだけのスペースがある球体。球体に向かって行動念を呟くと、その通りに動かすことが出来る。
こいつの目は隻眼。一度に三つ出す事が可能。一度の射撃に小型三体は動かせる。
「にしても利郎のやつ何処だ?」
利郎の奴、びびってどっかいっちまったのか?
機体を動かそうとするが、電源が点かない。もしかしたら敵反応が無ければ不可能なのかいやもしくは・・・。
電源が点きだす。隻眼の一つが、一定の方向を見る。このロボットが見る方向は敵の方向だけ。つまり、敵があっちに居る。
が、気配は無い。両手のマシンガンを構える。暗闇の中、何かの音がする。ビルの真下からじゃない。ビルより高いところに居る!
「敵・・・艦?」
間切れも無くあれは、人型でなく、レジェンドの大きさでもない。細く長い物だ。マジマジと見ながら、マシンガンの発砲用意をしていた。
『そこのエクス・レジェンド』
「?」
昔のスピーカーのようなノイズ交じりな音声が聞こえて来る。
艦は、プロペラのような物をいくつも付け、腕のような物が生えている。目もある。
『おやおや。ピースアゲインの新型ではないか。面白い。何時しかあおう』
「待て!お前は誰だ?」
四角い電子板に顔が映る。テレビか?白髪のように染まった髪と、不気味に笑みをかましたような表情。藍色の瞳みたいだ。
『ファルト・レジェンドを所持した単なる君の敵だよ』
ファルト・レジェンド?エクス・レジェンドよりも上の機体か?球体を離し、左指を見た。
「中指がまた無いぞ!?」
気付けば、すべての電気が消えていた。光っていたのは、モニターだけだった。
艦は、急上昇しながら雲の切れ目に姿を消した。雲が消えた後に満月が昇り行く。

「ファルト・レジェンド?」

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200804061507
Silver Knights ♯16

~~~~。親父め。死ぬまで嫉妬してやる。畜生。
こう思うのも唯ではない。家に一回も来やせんで基地にいる時だけに帰って来る。ああ鬱陶しい。
”コチラ”に来ればタバコ+芋焼酎+Hで散らかす。クソッ!それだけですむわけも無い。基地内でナンパするやつがあるかぁぁぁぁあっ!」
吸殻を巻き上げながら、土響きが伝う。
親父め!ふと眼を放したらこうだ!くっそぉ~~っ。恨んでやる!蛇噛慎一郎!!

「おぅ。オメー、人型機械持ってんだろ。見せろよ」
「やだね。俺のゼフィロスに指紋一つつけた瞬間、首に糸入るぜ?」
「何言ってんだ。俺は元機械師だぜ。お前にゼフィロスをやったのだって俺だろ?」
「またメッセージ入れ替えるつもりだな!ナビ娘さんに「●●●●やろうよ」や「そこは●●●だよ!」なんて言わせるな!」
「ちゲーよ。オメーに手入れ方教えよーってんだ」
「俺はやんねーよ」
「誰がやるのだ?」
「レンタルSilver Knightsサービスセンター」
真坂、この一言で基地内全体の大騒動を及ぼう何て誰も思っちゃーいなかった。
親父の胸元を押さえ込む。流石の力仕事。今は風圧自動車工業の社員だったか?あんなかで一番体格が良いとは身元から訊いた。
けど、ちょっと腹に膨れができた体で俺を押し返す力は倍ある。
そのうえ、何故かはしらないが、拳銃を所持している。グロッグ18を弄っているのを5歳の時見た。
謎めいた父に反抗する気もなく、逆に恐れているのかもしれない。
「あんだぁ~っ!!KA☆E☆RE!!」
「っつぁ~も、出切れば娘で産まれてこんかったかなぁ・・・。仕込み間違えたか?」
「下ネタ使うなアホ!」
下手にチカラを抜くと押しつぶれるのは俺だ。かと言って逃げたりすれば後ろのトレーニング室から来た奴にダイレクトアッタク・・・。説教されんのは俺なんだぁよぉ・・・。
靴が75°ほど曲がる。これで靴に皺が出来る確立が突破した。
シュン...。
トレーニング室からのドアの可動音。
誰か来る。
「馬鹿!来んじゃねぇ!!」
親父は相変わらずノンストップ暴走バルキリー発動モードらしい。
「アンタもやめろ!」
「お前がOKすれば」
「~~~~~っ!!わーったよ!力抜け」
親父のノンストップモードが停止する。
突然楽に成ったのか、蛇噛はペチャリと膝を突けた。
「もう好きにして・・・」
「格納庫は何処だ?」
親父のご要望道理の道を歩く。ピピピッ。パスを連打する。
ウィーン。自動ドアがスライドで開く。
「はい、イカロス!じゃなかった。コッチのゼフィロス!!」
「ほぉー・・・。色が違う」
「お汁粉の色のゼフィロスなんて誰が乗るか」
父は暫くゼフィロスを眺めると、一歩一歩と歩き出す。
誘導エレベーターの昇りボタンを押すと、ドアが開く。流石にエレベーターの乗り方ぐらいは知っている。
蛇噛は首筋を軽く掻くと一緒にエレベーターに乗り込む。
ギコちなく昇る。カチャン。ドアがスライドする。コックピット周辺まで歩く。
父は静かに言った。
「お前も変わったなぁ。お前と逢ったときには槍があったろうに」
「そりゃVerぐらい変わるさ」
「今度また新しいやつくんだろ?」
「あー、ピロか」
「ちげーよ。ゼフィだよ」
・・・・・・。
は?冗談よせ。
頭では半ば信じていない。けど、噂なら訊いた。が、それも全て信じたというわけではない。
skの開発が再開した丁度この時期にまた次々にskが投入、改良される。が、テスト版でもあって、不具合が多少しょうじる。
・・・・・。だからだったか。莫迦だおれ。
その線から行けば、ゼフィだって変わるのは当たり前だったろうに。
額を静かに手の裏で拭うと、父を見つめる。
少し頬に皺をよらせ、苦く、苦笑する。父の表情は変わらない。
「そーいうことか。道理で今のゼフィの調整が整っていないと思えば・・・」
「・・・」
父は俺の肩の上に手を乗せる。
父は溜息を二度すると、ゼフィに乗り込む。
まてよ。そう言った時には、座席に座りかけていた。
蛇噛は、父の足首を握る。父は、蛇噛の手の平の汗に気付く。
「何処行くんだよ」
「上だ。大昔の人間は地面ばっか這いずり回って、鳥を恋しく思うものも居ただろうな。最初に飛ばしたライト兄弟もまだ完璧だったわけじゃない。
それで、時代が重なるうちに、その飛行する世界はさらに上へ飛んでく。が、」
父はゼフィのキーを片手に握っている。キーホルダーが蛇噛自身のだ。
そのキーに気付いた蛇噛は体の辺りを当たる。ニカッと微笑みを咬ます父。
「人類は、空を飛ばすだけじゃなく、生命の塊に傷をつけた。戦闘機だって、ただ空ヲ飛ぶ為にあんじゃない。人を殺す。そういう目的がある」
「・・・・skも同じって言いたいんだな」
「ご名答。が、ゆとりさえあれば、それは一変する」
蛇噛の足首を握った手を掴むと、それを引っ張り蛇噛を上がらせる。
ウィィー・・・。
ハッチが開くと、アイスキャンカメラに光が燈る。
「行くぞ!!」
「はぁぁああああ!!??」
鉄壁、コンクリート、全てを破壊し、突破していくゼフィロスに痛みは無かった。
ただ、空へ飛ぼうとする信念が一直線に飛んでいる。
「すげえっ。飛行体型にも成ってないのに」
「背中に戦闘機ついてればその”載せ物”は飛ぶんだよ!!」
雲を突破し、満開の青空に眼が光る。満々とした水色に憧れているかのように上手い。操縦が上手い。
「親父、sk動かせんの?」
「俺は、元軍事用Silver Knightsのトップエースクラスの座を誇ったんだぜ?」
「訳が分からない。詰りは、skを使えれるのか?」
「ったりめーよ。俺は空軍だ」
初耳の事実を受け止めるのもやっとな蛇噛にさらにと真実が頭に入ってくる。
余り受け入れられなかった。
ハッ。今更のように思った蛇噛は急速落下時用のレバーを押し倒そうとしていた。
父はその手を強く握った。
「降りるか?」
「降りた方がいい。監督が知ったらご立腹だ。天気予報は当たり。それでいいか?」
キイィィィイイイ......。
浮遊時のブーストの発射時の音。
雲とは違う、何かの影がアイを覆う。眼の光が増しているのが薄々わかる。
「当等きやがったか」
「せっ、戦艦!?」
「俺の予測は当たりだな」
唾を一飲み。そうした蛇噛に恐怖のありやまりが耐えなかった。
蒼い機体、ピロテルク。一本のトンファーと二本レーザーを整えた洋用skだ。単純に考えて国内のギルドではない。シンボルさえも見覚えが無い。
何故、日本にいるんだ?それより、今は洋ピロ(上の略)の破壊が鮮明だ。
ピロはレーザーの焦点をゼフィに向けると、薄緑のレーザーを放つ。俺は父の手を払うと、直撃寸前の回避を免れる。
艦がskを出した時点で無差別対戦を行うことを意味している。が、この状況でskを出さない方がイカれている。
「親父、退いてろ。あんたが軍にいたぐらいにはもう戦争は終わっている。実戦を経験している俺が動かす方がいい」
「・・・なら、訓練無しでずっと軍に閉じこもっていたとでも?」
今度は父が蛇噛の手を払い除けると、レバーを握る。
飛行モードで、ピロテルクへ突っ込む。
ピロテルクはトンファーを後ろにし、振り構えをしていた。
「馬鹿!止ま」
投げ来るトンファーをバーニングソードで受け止める。
が、錘がいくつかついたトンファーの前で、ソードに罅が入る。
トンファーをゼフィロスに押し付けるが、ゼフィロスはトンファーをソードで留めている。どちらかが気を抜けば命を拾えない。
が、父は違った。
ソードでトンファーを留めているが、気付けば、”左手にソードがあり、右手に盾”があった。
「親父、お前何を・・・」
ソードに気を緩ませ、トンファーが目掛けてくる。
諦めかけた蛇噛は瞼で強く抑えた。・・・。蛇噛が眼をあけると、ピロテルクの腰が前に出ていた。
「あ・・・、隙が!!」
「分かってる」
ゼフィロスは、腰を蹴り飛ばす。上半身が引き千切れるくらいの威力をゼフィ本人も確信している。
ピロテルクは、頭を前に突進してくる。ゼフィと、あと2mの所でゼフィが脚を出し、土踏まずで頭を抑える。
トンファーを振り回すが、すべて空振りで終わる。ピロテルクの背部に光が燈る。
「零距離射撃だ!避けて逃げろ!」
「待てよ」
ゼフィはもう片方の脚でピロテルクの頭部の顎を、強く蹴り上げる。
その瞬間、抑えた脚を離す。ゼフィを目掛けた筈のピロテルクのレーザーは、上の艦の司令室に直撃する。
ガッ!
顎の砕けたピロテルクを背中越しに背負うと、ミサイルを放った。
ピロテルクの肩が砕け、椀部が粉砕する。爆破と共に、レーザー発射口をやられ、武装を失くす。
「急がば回れ、そんな重いもん付けないで正々堂々格闘で勝て」
ソードでコックピットを切り裂く。
バッ!上半身が消え、下半身が爆破する。
父は一息吐いたと思ったら、操作画面の上のひし形の画面にEの顔が映る。
『は~、こんなゼフィ使いはお前しかいねえよな。蛇噛父」
「よ、久しぶり」
意外な展開であった。
「え?どういう・・・」
「学生時代のマブだちって奴よ」
蛇噛は13秒程呆然していたが、頭の中で理解出切た。
頭をニ、三回頷かせる。頭は動いても心の戸惑いは隠せない。
というよりか、想像がつかない位でもあった。明らかに歳の差が診られる。無論、歳に見えるのは父の方だが。
「み・・・みえねぇ~っ」
「失敬な」
『こう見えて結構コイツと争ってたんだぜ?テストの順位だって一、二を争う程に」
「まじでか」
「俺が指揮官になったって良かったぐらいだぜ?」
「親父が指揮官?!あってねぇ~っ」
「失礼な」

ゼフィロスを基地内に離陸させる。
Eが父と話している。
「どうして敵艦が俺の基地襲うって事が分かったんだ?」
「雲の陰が違った。太陽との光を合せる為に発光ダイオードを使ってたんだ。が、影とのバランスが良すぎるって所に気付いたんだ」
「・・・」
蛇噛は二人を見つめていた。
海墺が呟く。
「アイツ等ってどんな関連があんだろうか」
「・・・ただの学歴バカさ」
真冬の空に、春の香が混ざった空を長く、見つめていた。
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200802240930
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